子猫のピッチ『Pitschi』


 子猫のピッチ『Pitschi』_f0172313_13123234.jpg好きな絵本 
『Pitschi』 ハンス・フィッシャー


リゼットおばあさんと動物たちの暮らしに
加わった黒い子猫ぴっちが、
小っちゃなでもはらはらする冒険をして、
ぐったりしてしまうのだけど、
最後にはみんなの愛情につつまれて、
元気をとりもどします。
たくさんいるどうぶつたち、
空間も走り出しそうな線で
みんながいきいき描かれています。



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1948年に原作が発行されて以来、世界中で愛され続けているハンス・フィッシャーの名作絵本「こねこのぴっち」。小さな黒猫ぴっちが、好奇心から家出をしてしまい、様々な出会いや自然界の怖さなどを経験します。リゼットおばあさんをはじめ、一緒に暮らしている雌鳥やヤギ、犬など仲間たちの深い愛情に包まれたぴっちの幸せな姿が、フィッシャーのリズミカルで生き生きとした線と、軽やかで繊細な色彩で描かれています。スイスの画家ハンス・フィッシャーが病床で末娘のために描いた名作絵本

「ブレーメンのおんがくたい」や「こねこのぴっち」などの絵本の作家として親しまれているハンス・フィッシャー。彼は絵本の仕事の一方で、版画家、壁画家、そして舞台美術家として、多岐にわたる分野で優れた作品を生みだしたスイスの芸術家です。1909年ベルン市で生まれたフィッシャーは、生涯のほとんどを美しい自然に囲まれた故国スイスで過ごします。はじめに装飾画を、チューリッヒの芸術学校で版画を学んだあと、パリの広告会社で働きながら勉強をつづけました。帰国後の1933年頃から、雑誌の諷刺画やアニメーションなどのさまざまな仕事をはじめます。特にチューリッヒの劇団「コルニション」の舞台美術は、美術界で高く評価されました。1938年には、最初の壁画をベルン動物園に描き、晩年まで精力的に壁画の制作に取り組みました。1944年はじめての絵本「ブレーメンのおんがくたい」を長女ウルスラへのクリスマスプレゼントとして贈り、以後、49歳で亡くなるまで子どものための本を発表しつづけました。また、国際的な版画家として1952年のヴェネチア・ビエンナーレ展に出品し、1955年のサンパウロ・ ビエンナーレ展ではグラフィック賞を受賞しています。 子どものための絵本や壁画、版画、舞台美術。全く異なって見える作品分野ですが、多様な作品群には、フィッシャーの一貫した作風が存在しています。リズミカルで生き生きとした線描と軽やかで繊細な色彩。そして、自然と子どもと音楽をこよなく愛したフィッシャーのあたたかなまなざし。それぞれの作品を見渡すと、絵本にも壁画にも版画にも、彼の愛する生きものが自由自在にイマジネーション豊かに登場しています。すべての作品が互いに響きあいながら、彼の芸術世界を構成しているのです。残念ながら若くして他界しています。享年49歳。

by mayuminillustnote | 2010-12-22 03:30 | 制作 エピソード | Comments(0)